「沖縄文化論 忘れられた日本」/岡本太郎
- 作者: 岡本太郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1996/06/18
- メディア: 文庫
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最近読んだ本の記録をとってないので、すっかり忘れてしまったのだけど、今月読んだ本のなかに、この本のことが書いてあり、岡本氏自身が撮った斎場御嶽の写真が載っていて興味を持って借りた。結果、大変な当たりの本だった。
まず、文章がすばらしい。ユーモアがあり、景色や情景の描写が色鮮やかで、キラキラと美しい。独特の表現力と言葉の選び方で、文章にひきこまれる。章題だけでも何か特別な力がある。沖縄の肌ざわり、「何もないこと」の眩暈、踊る島、神と木と石など。
岡本太郎という人を恥ずかしながら「芸術は爆発だ!」と言っていた変なゲージツカとしか思っていなかったので、文筆をしていたのさえ知らなかった。母親が本を出していたのは知っていたが…。フランスで民俗学を勉強されたとかで、色々才能があるのねぇ。
内容が返還前の話なので、景色や人々の描写も大変興味深い。が、本土と沖縄が抱える問題は今もかわってないとこはありますよね…。
私も前から興味を持っている、沖縄の宗教観や久高島に関する記述が身震いする位おもしろい。イザイホーに関する記述などは、文化人類学的にも大変貴重な記録かと思われます。
沖縄への畏敬と愛情に溢れる一冊。白黒の写真に文章が色を添えています。